オペラ『イヌの仇討ちあるいは吉良の決断』 原作 井上 ひさし 作曲 台本 林 光 演出 上村聡史 at 吉祥寺シアター by オペラシアターこんにゃく座

スポンサーリンク

「忠臣蔵」は悪者の吉良上野介を、いい者の赤穂浪士が忠義の名の下に仇討ちするお涙頂戴話。(少々強引ですが〜笑)

この万人の知る「忠臣蔵」を吉良側の視点で描いたのがこの『イヌの仇討ち〜』

お勝手台所の物置に逃げてきた上野介一行は、外界から舞い込んできた盗人と、外界と出入りできる小坊主の情報を元に、何故こういうことになったのか、検証する。

観客は、盗人同様に、初めは上野介に厳しい視線を向けているが、その先入観が正しいものなのかわからなくなってくる。

上野介は大石内蔵助に討ち責められる理由がないと語るうちに、大石は自分を敵としているのではなく、民意に寄り添うお上への挑戦だと気づき、大石に討たれる決心をする。

脇役ではあるけど、女中頭は上野介への忠誠心故に、世間に恥を晒してまで生き延びることに抵抗し、お妾さんは愛故に自分の五臓六腑を差し出しても生き延びて欲しいと訴える。

人の見方というのは如何に様々で、情報に左右され、世間に流され、強いものは自己保身に走り、弱いものは振り回されるか。

他の言葉の中にも、井上ひさしのメッセージが浮かび上がる。

オペラとしては、いわゆるアリアのようなゆったり聴かせるというのはなく、限りなく演劇に近いけれど、ピアノとヴァイオリンの合いの手は巧みで物語を盛り上げた。

演技のできる歌手陣ではなく、歌える俳優陣だけど、これはこれでひとつの世界があった。

コメント

タイトルとURLをコピーしました