エリザヴェータ女帝時代のロシア宮廷におけるオペラ・セリア上演について by Ms.森本頼子

スポンサーリンク

モンテヴェルディ生誕450年記念にちなんで、8名が各々専門分野での考察を語ったシンポジウム。

ロシアでは、アンナ女帝時代(1730〜40)に最初のオペラ・セリアが上演され、エリザヴェータ女帝時代に最盛期を迎える。エリザヴェータはピョートル大帝の実の娘で、文化事業に力を入れて宮廷の音楽生活の充実に取り組んだ。オペラセリアは皇帝の誕生日や聖名祝日、戴冠記念日などの祝日に上演された。

《皇帝ティートの慈悲》《セレウコ》《シピオーネ》《ミトリダーテ》《べレロフォンテ》《戴冠したエウドッサ》《インドのアレッサンドロ》

《べレロフォンテ》以外は歴史ものを扱っている。

《皇帝ティートの慈悲》は1742年のエリザヴェータの戴冠式典で上演された。戴冠式では通常、楽長の新作を使うのが普通だが、アライア(当時の楽長)が不在だったために、既存のオペラが使われた。この物語はローマ皇帝ティトゥスが自らに企てられた陰謀を寛大な心で許すという筋書きで、皇帝の理想の姿とするオペラだった。特筆したいのは、効果的に上演するために、シュテーりんの作詞によるプロローグが追加された。これによって、より、君主の権威づけにふさわしい作品となった。そのプロローグには登場人物として、女帝陛下の5つの特性として、正義、勇気、博愛、寛大さ、慈悲。忠実なる国民の5つの特性として、愛、忠義、誠意、希望、喜び。合唱を歌う登場人物は、ヨーロッパ人、アジア人、アフリカ人、アメリカ人という具合。

また、アライア《セレウコ》は1744年の戴冠記念日とロシア=スウェーデン戦争後に締結さsれた講和条約を記念し、モスクワで初演されているが、これも最終場面にエリザヴェータを賛美する合唱が加えられている。歌詞の一部は「雲の中から名誉の神殿を表す舞台装置が降りてくる。その神殿の内部にはより小さな神々や古代の輝かしい英雄たちの肖像画順番に置かれているが、その中の最も高く目立つ場所に、女帝陛下の肖像画が見える」どの英雄も偉大さやとくの高さでは女帝にかなわないという内容。

結論として、エリザヴェータ女帝時代は歴史もののオペラセリアの上演がピークを迎えた時期で、オペラ文化の黎明期だったからこそ、それが皇帝の権威づけの手段として、効果を発したと言える。この後のエカテリーナ2世時代は歴史ものだけではなく、神話ものも多く含まれるようになっていく。

〜〜〜

この森本頼子さんは、東大や芸大の方ではないけれども、きちんと、資料に基づいて考察をされており、うわべの資料羅列ではなく、発表も的を得ていてわかりやく今回の研究発表の中ではとても良いものでした。内容を略していますので、分かりづらかったら私のいたらなさですのでご勘弁ください。

彼女は金城学院大学、名古屋音楽大学、名古屋大学、各非常勤講師

愛知県立芸術大学大学院音楽研究科博士後期課程修了

専門は西洋音楽史およびロシア音楽史

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました