《椿姫》ヴェルディ at 新国立劇場 2017/11/16

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新演出ではないけれど、イリーナ・ルングのヴィオレッタが注目だった。今日が初日のせいか、全体にオケとのコンビネーションがイマイチな感じが否めなかったが、彼女も、アルフレードのアントニオ・ポーリも健闘した。

イリーナの声は噂通り美しかったが、ビブラートのかけ方がどうも好みではなく、音の切り方もぞんざいに感じて、1、2幕はのめりこめなかったけど、3幕になると本領発揮でヴィオレッタの世界に誘われた。

床と下手側の壁は鏡の如く周りが映る素材を使い、上手側の、パーティのホールの壁をうまく反射させて三次元の境目を曖昧にして独特な雰囲気を醸し出していたのが面白い。

2幕1場のヴィオレッタの家の部屋のシーンの演出は、ジェルモンの言葉を受け入れたところで、ヴィオレッタの心情の変化をもっと視覚的にも表現するともっといいと思ったのでここはちょっとばかり不満が残った。

同じ演出で以前観ていたことを2幕1場の傘の演出で思い出した。宙に浮く傘と空を飛ぶ鳥はそこに空気の動きを感じさせ、安定感のない吹けば飛ぶような幸せを視覚的に表現していると思う。

2幕2場 フローラの社交場で、アルフレードがお札を叩きつけるシーンでは上からお札がばらまかれる(紙吹雪のように)演出だったけど、私は視点が違うと思いましたよ。

お札がばらまかれて視覚的に華やかにすることは重要ではなくて、大切なのはアルフレードが悲しくて辛くてどうしょうもなくて、幼い子供が駄々をこねるように、ヴィオレッタにお札を投げつけることが大事だと思うからです。ひらひら〜わぁ〜っていうのは違うわね!

そして、お気に入りは3幕、ラストシーン。

ご覧になっていない方のために、説明すると、下手側にうっすらとした透けて見えるクモの糸でできたようなヴェールが天井からセンターのピアノ(このピアノはすべての幕で小道具として使用されている)の脇まで覆い、ピアノの上にいるヴィオレッタはその幕の上手側にいる。そしてヴィオレッタ以外の登場人物は皆、その薄いヴェールの下手側にいるのです。

簡単に言うと、ヴィオレッタと他の登場人物は薄いヴェールで仕切られたまま、3幕が始まり終わるのです。想像するに、3幕では既に彼女は死を迎えていて、他の登場人物とは別世界にいるのです。そして、アルフレードなどとの会話はすべて彼女の脳裏での出来事、こうあってほしいという願いと共に想像の世界の出来事として扱われていると思います。ラストに、ヴィオレッタが、身体が軽くなったわ!というところからは完全に魂の世界に昇天したと捉えられます。

素敵でしょう?!よりドラマティックでしょう?

アルフレードに直に抱きしめてもらえないという点ではちょっと悲しい気がしますけどね(笑)

《椿姫》は何度も聴いている演目なので、音楽がほぼ入っているので、あっという間に感じた。それにしても、ジェルモンは勝手だなぁ〜別れろって言っておいて、お泣きなさい!ってなんて身勝手な!この点はいつもブツブツ思ってしまいます(笑)

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